交大観察と所感(3):修士1年(2学期)—美術サークル&研究編
¶ 前書き
前回の記事では修士1年(2学期)の履修について書きました。今回は課外活動と研究についてまとめます。課外活動は美術サークルで絵を描くくらいで、学部時代のようにインターンを掛け持ちしたり、オープンソースに参加したり、コミュニティに顔を出したりしていた頃に比べると、だいぶ単調です。修士を本気でやると決めたのが少し遅かったので、分野探索やテーマ決めの時点で出遅れていましたが、それでもこの学期のうちに自分が面白いと思える研究分野を見つけ、テーマも決め、夏休みから研究を進め始めました。
¶ 美術サークル
修士1年(1学期)の記事でも美術サークルについて触れましたが、とにかく今学期も続けて通っていました(実は次の学期も続けています)。
学期後半の美術サークルのメインイベントは、4月上旬に行われる藝文系サークルの合同展です。図書館の地下にある展示ホールで展示を行います。今年は新型コロナ(当時の「武漢肺炎」)の影響で開講が延期され、制作期間が圧縮されました。3月末までに完成させる必要があり、みんな必死で作品を仕上げていました。
当時は何を描くか決めきれず、とりあえず星空を描くことにしました。本当はきらびやかな星空を描きたかったのですが、描いているうちにいつの間にか抽象画っぽい雰囲気になってしまいました。少しゴッホを意識した感じもありますが、手法はだいぶ違います。ゴッホは絵の具を厚く塗るので、色が濃くて飽和して見えます。一方で油絵の具は高いので、私はそこまで贅沢に使いたくなく、薄く一層だけ塗りました。その結果、画面が明るめに見える仕上がりになりました。
結果にはけっこう満足です。創作って本当に、想像しない方向へ転がっていきますね!
(星空。劉安齊。12P 油画。2020)
合同展が終わって「まだ描き足りない」と感じたので、次の油絵を描き始めました。子どもの頃、叔父の家で巨大な油絵を見たことがあります。黒い背景に、細長い白い木の幹が何本か描かれていて、それにインスピレーションを得て「白い森」を制作しました。
(白い森。劉安齊。20P 油画。2020)
油絵は乾きにくいので、基本的には1回で1層だけ描き、2〜3日乾かしてから次の層に進みます。作品は何層も重なることが多いのですが、この作品は最初から最後まで3回だけで描きました。1回目は下地で、キャンバス全体を黒く塗る作業でしたが、これだけでも全部塗り切るのにだいたい1時間かかりました。
2回目は前景の白い木の幹を塗りました。筆ではなく指で塗っています。筆よりも指のほうが自分にとってやりやすいと気づいたからです。3回目は遠景で、灰白色の枝を入れて、全体の引き立て役にしました。これも指で描きました。
最初は森の写真を探して、それを見ながら描きました。前景はほぼ写真を参考にしていますが、遠景は途中から感覚で描きました。全体の調和を保ちつつ、局所的には意図的に崩しています。例えば遠景には、左から右下に伸びる長い枝があり、ほぼ画面全体を横切るように入れて、わざと少し違和感を出しました。また、中央上部には上に向かって張り出す枝が1本だけあり、その周囲はほとんど黒を残して、その枝の反骨っぽさを強調しています。
厳密にはこの作品も「人の半身」くらいのサイズはあるのですが、以前見た叔父の2〜3メートル級の作品に比べるとやはり小さすぎます。家に飾ってみると迫力が足りない気もしましたが、それでも今のところ一番好きな作品で、スマホのロック画面にも設定しています。
下の画像は、パステルの回で先生が人物画をデモしてくれたときのものです。

そして、みんながその後に描いたいろいろなパステル画です 😂

ある回では紙粘土で遊びました。
さらに陶芸サークルとの合同回もあり、コップに絵を描いたり、陶碗をひとつ作ったりしました。
¶ 研究
学部の頃、先生と一緒にプロジェクトをやりたいと思っていました。当時はブラウザという存在に強い興味があり、NTU(国立台湾大学)の情報系でいろいろ見比べて、洪士灝先生の研究が一番しっくり来ると感じて、勢いで先生に連絡しました。その後、科技部(MOST)の大専生計画も洪士灝先生のもとでやりました。あのとき先生は「GPU をやってみない?」と聞いてくれたのですが、当時の私はブラウザに夢中で、ブラウザだけを研究したいと思っていました。
研究室を探し始めたのは前学期の中間試験が終わってからで、選択肢はあまり多くありませんでしたが、結果的に游逸平先生のシステムソフトウェア研究室に入ることになりました。最初は論文を手当たり次第に読んでいて、OpenCL 関連の論文も何本か読みました。面白いと感じて、異種計算や並列計算に興味を持つようになりました。
その後、洪士灝先生の研究室の meeting に行ったときに、RDMA という自分にとって新しい技術を知り、かなり衝撃を受けました。そこから高性能計算(HPC)の分野を学び始めました。
HPC の研究設備は高価なことが多く、お金がないと遊べない世界です。でも私はその分野に強い興味があって、それが逆に不安にもなりました。「自分をどうやって HPC の専門家に育てればいいのか」を切実に知りたくて、洪士灝先生に相談したことがあります。先生は「こうすればいい」と簡単に説明できる感じではなかったのですが、後から考えると理由は分かります。結局、一番の方法は自分で体験して身につけることだからです。
先生は「興味があるなら国網中心(NCHC)にインターンに行ってみたら?」と提案してくれました。私にとっては大きなチャンスで、もし行ければ思う存分 HPC を学べます。当時すでに修士論文のテーマは「Web の並列計算のオフロード」に決めていたので、国網中心の研究内容とも結びつけられるはずだと思いました。
論文テーマを見つけた過程も、結局は偶然の連続でした。研究室の同級生 陳奕安 が「面白い論文があるよ」と言ってくれて、それを読んだところ、再現自体は難しくなさそうで、改善できる点も多いと感じました。関連論文を調べてみると、まだ誰も考えていない視点もあり、そこでテーマが決まりました。ただ、4科目を履修していてまともに着手する時間がなく、進捗が出始めたのは夏休み以降です。論文が書き上がったら、研究の経緯を別の記事にまとめるつもりです。
面白いことに、学部時代のプロジェクトはブラウザ最適化、つまりブラウザを改造してレンダリングを速くするというもので、どちらかと言えば kernel space の話でした。当時は自分が未熟すぎて頓挫しましたが、結局また似た領域に戻ってきました。今回も Web のレンダリング速度を最適化したいのですが、手を入れる場所は user space に移り、Web Worker と WebAssembly を改造する方向です。
この学期は論文もたくさん読み、知識を学ぶ喜びを強く感じました。知識はこうやって積み重なるんだなと実感します。最新の技術は論文として発表され、古典的な論文は教科書になり、教科書として定着したものは広く伝わっていく。論文をある程度読んで初めて、「学問を探索している感覚」が出てきました。学部の頃に論文を読んでいたときとは違って、知識同士をつなげられるようになったり、問題への視点が鋭くなったりしたのかもしれません。
できるだけ早く研究を完成させ、会議で発表できるくらいの形にしたいと思っています。将来 PhD に進むかはまだ分かりませんが、会議論文が1本でもあれば、もし本当に博士課程に出願したくなったときの「資本」になります。PhD の学位って、やっぱりちょっとカッコいいですよね?!🤣
¶ 結論
この記事では、交大資工所(NYCU ICSE)で修士1年(2学期)を過ごしたときの、美術サークルでの活動と研究の進捗を記録しました。美術サークルでは作品をいくつも作り、同時に研究の方向性も見つけました。うまく研究を完成させられるといいなと思います。